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- 地震に強い家とは?
- 地震に強い家の特徴
- 地震に強い家の構造
- 地震に強い家を維持する方法
- 地震に強い家を建てる際の注意点
いつ起こるか分からない災害に備えて地震に強い家を建てたいと思っているけれど、実際にどのような家が地震に強いのか分からないという方も多いと思います。今回は、地震に強い家の基準から住宅の特徴について徹底解説していきます。また地震に強い家を維持する方法や建てる際の注意点についても説明します。
地震に強い家とは?
広く地震に強い家と言っても地震に強い家の判断基準は沢山あります。このセクションでは法律で定められている耐震性能の等級についてや、住宅の耐震性能の現状について解説します。
地震に強い家とは?
地震に強い住宅の判断基準の一つに耐震等級があります。耐震等級とは品確法によって定められた住宅性能表示のことで、地震に際する建物の強さの指標とされています。壁の量や接合部、基礎などの検討項目に基づいて1級から3級まで、3段階にランク付けされていて、等級の数字が大きいほど、建物の耐震性が高いことを表します。現在の建築基準法では全ての家が「震度6強の地震が来た時、損傷を受けたり、傾いたとしても倒壊しない」レベルであることが定められていて、この基準が耐震等級1に相当します。
耐震等級認定の基準となる構造計算の方法は住宅の造りによって様々で、おおよその規定で定められています。そのため、耐震等級が高いからといって必ずしも全ての地震に耐えられるわけではありません。
現在の住宅の耐震性能
耐震に関する法律や基準は大地震が発生する度に被害の教訓を反映し、改正されています。つまり、改正を繰り返した現在でなお、想定外の大地震が発生した場合、多くの人の命や生活が犠牲になり、耐震性能の欠陥が発見されるということを表しています。全国約1,000社の工務店・リフォーム会社・設計事務所などから構成される日本木造住宅耐震補強事業者協同組の調査によると築15年の木造住宅の9割以上が震度6強クラスの地震に対して耐震性が不足しているといわれています。
地震に強い家の特徴
耐震等級以外にも地震に強い家は住宅自体の性能や造りに共通する特徴があります。では地震に強い家の特徴を一つ一つ確認していきましょう。
- ベタ基礎
- 家の高さが低い
- シンプルな形状
ベタ基礎
「ベタ基礎」とは建物の下に鉄筋を通して、全面をコンクリートで覆う工法です。地面全体をコンクリートで覆い、建物の重みを面で受け止めるため荷重を分散しやすく耐震性が高くなります。一般的に住宅の基礎に使われる工法は1階の壁の下のみに基礎を敷く「布基礎」と呼ばれる工法です。しかし、布基礎は建物の周りや柱の下だけに強い力がかかりやすくなり地震による部分沈下の危険性もあります。地震に強い家づくりにはベタ基礎のような強固な基礎構造が重要になります。
家の高さが低い
地震に強い家は住宅の高さも大切な要素です。地震発生時、建物の下層階から高層階にいくにつれて揺れが大きくなります。そのため、高さが低い住宅は地震に強いと言われています。また、上層階の重量を支える必要もないので家自体の重さが軽くなり地震にの揺れによる建物への負担が軽減されます。そのため、高さの低い平家が地震に強い家として注目されています。
シンプルな形状
住宅の形状をシンプルな長方形や正方形にすることで地震のような横からの負担に強くなります。家の平面図を見たときに凹凸が多い家は地震の揺れによって住宅にかかる力がねじれて伝わるので、このねじれから家が崩れ始める可能性が高まります。一方で、平面図上の凹凸が少なくすっきりとした形状の住宅はねじれが生じにくいので、地震による損傷や倒壊の危険性が低くなり耐震性が高いと言われています。
地震に強い家の構造
地震に強い家の基礎や視覚的な特徴について見ていきました。では、住宅の中でも見えない構造部分から耐震性を高めることはできるのでしょうか。住宅の構造で代表的な構造とそれぞれの構造の耐震性について見ていきましょう。
木造住宅
木造住宅の特徴
木の柱と梁で支える日本の伝統的な工法です。日本の戸建ての多くは木造住宅で建設費用を抑えられるうえ、自由度の高い設計をすることができます。木造の家は木の温かみを感じさせてくれるメリットがある一方で、シロアリや腐食など年数と共に劣化する、火災に弱いなどのデメリットもあります。
木造住宅の耐震性
建築材料ととしての木は柱に使用する縦の力に強い耐性を発揮しますが、梁としての横の力には弱いので耐震性は高くないといわれています。しかし、近年は木造住宅の中にも耐震性の高い「ツーバイフォー工法」と呼ばれる工法が開発されました。この工法では均一サイズの木材や合板を組み合わせて床や壁を構築していくため、住宅を面で支えることが出来て耐震性が向上します。
鉄骨住宅
鉄骨住宅の特徴
鉄骨構造は使用する鋼材の厚さによって「重量鉄骨」と「軽量鉄骨」の2種類に分類されます。どちらも鋼材を使用しているので耐久性が高いことがメリットとして挙げられます。一方で、重量鉄骨は費用が高くなる、軽量鉄骨は間取りの自由度が制限されるなどのデメリットもあります。
鉄骨住宅の耐震性
重量鉄骨で使用される「ラーメン構造」は柱と梁の鉄骨が剛溶接されているため揺れへの耐性が高く、地震に強い工法です。軽量鉄骨に使用される「ブレース構造」は柱や梁に加えてブレースと呼ばれる筋合いを入れるので揺れによって発生する水平方向の負荷にも耐えることが出来ます。
地震に強い耐震性能を備えた新築は耐震住宅と呼ばれます。耐震住宅について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
地震に強い家を維持する方法
地震に強い家を建てても、建設後のメンテナンスを怠ってしまうと地震が発生したときに本来備わっているはずの耐震性能が発揮されないことがあります。このセクションでは地震に強い家を維持する方法について説明します。
- 湿気対策
- 定期メンテナンス
湿気対策
地震に強い家の維持において床下メンテナンスは重要です。建物自体の構造や形状などが地震に強い造りになっていても住宅の基盤の耐力が低下していると性能を最大限に発揮できません。日頃から住宅の湿気対策を行い、家の腐食を防ぎましょう。
定期メンテナンス
住宅の定期的なメンテナンスを行うことで、大規模な修理や改修工事などの費用も抑えることが出来ます。メンテナンスの内容は住宅の構造や箇所によって異なりますが、木造住宅の場合はシロアリ被害の有無の確認、室内であれば雨漏りや水回りの水漏れ確認などがあります。日頃から目視によるメンテナンスや業者による定期検診を行うようにしましょう。
地震に強い家を建てる際の注意点
地震に強い家は建てる家だけではなく建てる場所、土地によって地震に対する耐性が変わります。では地震に強い家をどこに建てればいいのか、土地選びの方法について見ていきましょう。
土地選び
同じ地域で起こった地震でもその被害は場所によって異なり、大きな要因は地盤の固さにあるといわれています。地盤が緩いと住宅の基礎の耐性が低くなるほか、年月の経過につれて家が傾いてしまう危険性もあります。その結果、地震による揺れが住宅に直に伝わり倒壊が可能性が高まります。
土地選びの方法
地盤の固さを調べる上で有効なのが古地図です。選んだ土地が昔から安定した地盤であったか、池や沼が埋めててられて出来た土地ではないかを確認することが大切です。また、より高い耐震性のために専門的な調査をしたい場合には業者に依頼することも可能です。
まとめ
今回は地震に強い家について説明しました。住宅の構造や形状、基礎の作りなど様々要素を組み合わせた上で地震に強い家を造ることが出来ます。また、耐震性能を最大限に維持する家を造るだけではなく定期的なメンテナンスをすること大切です。
それぞれの理想の家に上手く耐震性能を組み込むことで、地震に強く、長く住めて家族全員から愛される家を造ることが出来ます。
万が一の地震にも備えられる安心の家づくりを心がけましょう。
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